2014年12月31日、習近平国家主席が2015年の新年挨拶を発表しました。全文は以下のとおり。
2015年新年賀詞
时间过得真快,2014年就要过去了,2015年正在向我们走来。在这辞旧迎新的时刻,我向全国各族人民,向香港特别行政区同胞和澳门特别行政区同胞,向台湾同胞和海外侨胞,向世界各国和各地区的朋友们,致以新年的祝福!
時が経つのはとても早く、2014年が過ぎ去ろうとし、2015年が私達のところにやってきます。この新しい年を迎えるときに、私は全国の各民族の人民、香港特別行政区の同胞とマカオ特別行政区の同胞、台湾の同胞と海外の僑胞、世界の国と地域の友人たちに向かって新年のお祝いを申し上げます。
谢谢大家。
みなさん、ありがとうございました。
解説: 中国の国家主席が毎年行う新年の挨拶だ。国内向けのメッセージだが、全世界を意識して発信している。中国国内の状況について指導部が持っている現状認識、今後の世界戦略が分かる貴重な機会だ。
たとえば「全面推进依法治国」(法律で国を治めることの全面的な推進)が必要と呼びかけているところでは、まだ法による支配の及んでいないところがあり、公平や正義が実現できていないことを示している。形式主義、官僚主義、享楽主義および奢侈淫佚、腐敗もまだまだあるため、今後もしばらくは綱紀粛正の動きが続くと予想される。また、世界の紛争解決に関心を持ち、今後重要な役割を果たしたいという欲望を持っていることも見て取れる。
キーワードとなる言葉がいくつかあった。まずひとつは小康社会だ。1979年に鄧小平が大平正芳首相と会談した時に語ったのが初出とされる。中国式の現代化を通じて、持続可能な発展をする社会をつくろうというものだ。 全面的な小康社会というのは2020年までを目標に経済、政治、文化、社会、生活環境などの各方面での小康社会建設をいう。
その他に从严治党(従厳治党)、立行立改もキーワードだ。从严治党(従厳治党)は1987年の中国共産党第13回全国代表大会で採択された党内の重要原則で、改革開放と社会主義現代化建設という条件下で党組織の建設の基本方針と要求を強化していくもの。早い話がけじめあるルール作りだ。油断すると易きに流れて腐敗が起こり、大衆から離れてしまうので、党性や方針、闘争について積極的に語り合うことで党の方針を理解し、人々を平等に扱うように述べたものだ。2014年6月30日午後に中国共産党中央政治局で行われた集団学習の際に、習近平国家主席が強調したことで有名になった。立行立改の情報はあまりないが、中国共産党の基本路線にあるらしい。群衆の有する難題には党のいう群衆路線の教育実践活動を展開せよ、というもの。群衆の中に問題を見つけ、解決策を群衆の中に返す。あくまで群衆(大衆)側に立って問題にあたれ、というのが立行立改の精神だ。党の規律検査体制も立行立改せねばならぬ、と習近平国家主席も言っている。